シャコの目に秘められた「高速色認識システム」の謎
■はじめに
以前のブログでシャコの驚異的な偏光視覚(https://www.luceo.co.jp/blog/2252/)についてご紹介しましたが、今回は
シャコのもう一つの特徴である「分光機能」、つまり色を識別する仕組みについて掘り下げていきます。
■12種類の光受容細胞という驚異
人間の目には赤・緑・青の3種類の光受容細胞(錐体細胞)があり、これらの組み合わせで色を認識しています。一方、シャコは12種類もの光受容細胞を持つことが知られており、紫外線から赤外線まで幅広い波長を感知できます。
この事実から、長年シャコは人間の何倍もの色を識別できる「超色覚」を持つと考えられてきました。しかし、2014年の研究で意外な事実が明らかになりました。


( a ) 典型的なカリブ海のサンゴ礁に生息する口蓋足動物Neogonodactylus oerstedii。( b ) 片方の複眼のクローズアップ図。背側半球 (DH) と腹側半球 (VH) が眼の周辺個眼を構成し、6 列の中帯 (MB) が見える。( c ) 半球と中帯における各個眼の構成を示す模式図。中帯の列は背側から腹側に向かって 1 から 6 まで番号が振られている。眼の色覚領域は、1 列目から 4 列目の層に含まれていると考えられる。網様細胞は、含まれる視色素が吸収するスペクトル領域を示すために色分けされている (紫外線感受性細胞は灰色または黒色)。CC: 水晶体錐体、Co: 角膜。 ( d ) 顕微分光光度計(MSP)で測定した、この眼に存在する12種類の視色素すべての吸光スペクトル。視色素スペクトルは、各色素が吸収するスペクトル範囲にほぼ一致するように色分けされている(( c ) [ 6 ]で同じ色で示されている箇所)。normal. abs.は正規化された吸光度。
■実は「超色覚」ではなかった?
クイーンズランド大学の研究チームによる実験で、シャコは12〜25nm程度の波長差がある色を区別できないことが判明しました。人間であれば1〜5nm程度の差も識別できるため、実際の色識別能力は人間より劣っているのです。
では、12種類もの光受容細胞は何のために存在するのでしょうか?
■「高速処理」のための独自システム
研究により、シャコの各光受容細胞はそれぞれ特定の1色のみを感じ取っており、人間のように複数の細胞の情報を比較する方式ではないことが分かりました。つまり、シャコは色を「組み合わせて判断」するのではなく、「個別に認識」しているのです。
この仕組みの利点は処理速度です。人間の脳は複数の光受容細胞からの情報を比較・演算して色を判断しますが、
シャコはその演算を省略できます。獲物を素早く捕らえる必要があるシャコにとって、高精度よりも高速処理が重要だったのです。
■まとめ
シャコの分光機能は、単に光受容細胞が多いから優れているわけではありません。速度を優先した独自の色認識システムと、それを支える特殊な脳構造の組み合わせが、シャコの生存戦略を支えているのです。用途に応じた最適設計こそが重要であることを、シャコは私たちに教えてくれています。
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図の出典: Cronin TW, Marshall NJ. (2022) Colour vision in stomatopod crustaceans. Phil Trans R Soc B 377: 20210278. https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2021.0278
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